バレンタインの前日には、女の子たちは夜遅くまで、慣れない手つきで、チョコレートやスイーツ作りにいそしむ姿が見られます。そのチョコレートを誰に渡すんだろう?とお父さんは気になるかもしれません。
(もしかしたら、自分も貰えるのかな……?)
と、ほのかに期待してみたり。
バレンタインには、甘くほろ苦い思い出がつきものです。
作るのも食べるのも楽しいチョコレートですが、その扱いは意外と難しく、誰でも一度や二度の失敗を経験するものです。まず、チョコレートを溶かすという、一見シンプルに感じられる作業が実は難しく、しかも、その後の美味しさを左右する重要な工程でもあります。
チョコレートの温度を管理しながら溶かす工程を「テンパリング」と言います。
そもそも、チョコレートの主成分であるカカオバターの中には、融点や、分子の細かさが異なる6種類の結晶が含まれています。
ここでポイントになるのは、分子が粗い結晶は溶ける温度が低い、という特徴です。温度調整をしながらチョコレートを溶かすことで、チョコレートの中の粗い分子を溶かし、きめの細かい分子にそろえることができます。
すると、キレイな光沢のある、なめらかで美味しいチョコレートができあがります。
そのため、チョコレートを一旦45~50℃で溶かしたあと、25~27℃に冷やし、再び31~32℃で溶かす、という作業を行います。ブラックチョコレート、ミルクチョコレートなど、種類によって最初の温度が異なってきます。
これをするのと、しないのでは、出来上がりに大きな差が出てしまいます。
チョコレートを冷ます方法にも、種類があります。
その中のひとつが、「大理石で冷ます」という方法です。チョコレートの一部を容器に残し、他を大理石のプレートに流します。チョコレートをパレットナイフで広げたり集めたりしながら、少しずつ温度を下げていきます。
この時の大理石は冷やし過ぎず、少しずつ温度を下げていくのがポイントです。カカオバターが結晶化していくと、少しずつ重くなるので、粘り具合を見て温度を測り、目標の温度まで下がったところで、先ほどの容器に戻します。
このやり方だと、プレートの上でチョコレートを大きく広げて作業できる分、テンパリングにかかる時間を短縮することができます。
なぜ、大理石を使用するのかというと、熱伝導率の低さがポイントとなってきます。チョコレートのテンパリングをする際には「急速に冷やすのではなく、少しずつ冷やす」のが大切になってきます。そのため、大理石自体を冷やしすぎないこともポイントになってきます。
ただ、パレットナイフにかかる重さを見ながら進める作業のため、正直、素人向きではないようです。大理石にチョコレートを広げ、ダイナミックにパレットナイフを動かすなんて、いかにもプロのパティシエっぽくてカッコいい気がしますが。
もしも、年に一度、例えばバレンタインシーズンだけ頑張る、というのであれば、人工大理石のプレートも市販されています。ネット通販でも沢山出回っていますので、まずは手軽なそちらから試してみるのも良いかも。そこから思わぬ才能が開花し、気がつけば世界的なパティシエが生まれる日が来るかもしれませんね。
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